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助手席物語

助手席物語 #北淡01

クルマを運転できるようになったら、
どこに行って、なにをしよう。
免許を取りに行ったときの私は希望に
溢れていた。電車では行けないような
場所に行ける。時間を気にせず遠出が
できる。大きな荷物が運べる。空港に
行く友人を送ってやったり、雨の日に
家族を迎えに行ったり。特に目的もな
くどこかにドライブしてみるのもいい
かも。ただまっすぐの道を走ったり、
曲がりくねった道をストイックに走っ
たり。でもやっぱり、誰かとドライブ
というのがいちばん楽しいだろうな。
最初は少し一人で練習して、運転に慣
れてきたら誰かを乗せて走ろう。誰が
いいだろうか?家族とか。親友とか。
恋人とか。そうだ、犬を乗せてやるの
もいい。ドッグランのあるすこし遠く
の公園まで連れて行ってあげる。フリ
スビーとサッカーボールを持って…。
ああ、憧れのカーライフが待っていた
はずだったのに。現実は、今日も私は
助手席から窓の外を眺めている。すっ
かりペーパードライバーだ。

こんな私の憂いとは裏腹に、空にはき
れいなうろこ雲。シアンのインクを薄
く引き伸ばしたみたいな色だ。運転席
と助手席の間のドリンクホルダーには
トールサイズのコーヒーが仲よく並ん
でいる。どちらもブラック。車内には
コーヒーの香りが充満していて、さっ
きまでの眠気も吹き飛んでしまった。
しばらくうたたねすることもなさそう
だ。今日も私の隣のドライバーは黙々
と運転している。めずらしくサングラ
スなんてかけている。もしかして浮か
れているんだろうか? もう一時間近く
運転しているはずだし休憩しようよと
提案してみたけど、日暮れまでには目
的地に着きたいし疲れてないから大丈
夫だと言う。自宅にある作業用のイス
なら30分に一回は休憩するくせに、運
転するときだけ集中力が長持ちするみ
たい。そんなんだったらこのデミオの
シートで作業すればいいのに。(って
言ったら本当にしそうだから言わない
けど。)

淡路島を縦断するように北上してきて、
もうすぐ北淡周辺に着く。

目指すはとある養鶏場。本屋さんで立
ち読みした本で紹介されているのを見
て、ロゴのデザインがかわいいからと
いう不純な理由で向かっている。いや、
ロゴのデザインにまでこだわりのある
養鶏場の卵なんておいしいに決まって
いる、というのが私の意見。デザイン
とはテツガクそのものなのである。こ
こは卵の直売はもちろん、特製プリン
の販売なんかもしているらしい。クル
マでしか行けないような場所にあると
いうのも高ポイント。
こういうところにわざわざでかけて行
くのってちょっと贅沢な遊び方みたい
で楽しい。(よね?)

さっきからまっすぐの道が続いている。
対向車も来ない。こんなまっすぐの道
だったら私も運転できるのになあ、な
んてぼんやり考えてたんだった。そう
いえばこの辺りは私が免許をとった街
に少し似ている。人もクルマも少なく
て、近くに海の気配が潜んでいる。天
気だけがやたらに良い。気持ちがいい
ので窓を少し開けてみると、何かを燃
やしているような、少し焦げた匂いが
した。ひんやりとした空気が車内を巡
って、カサイ君も気持ちよさそうに笑
った。なんだか最近は運転するのが前
よりもずっと楽しそうだ。(続)

#助手席物語 第4話
#北淡 #前編
#デミオ #ドライブ
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