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助手席物語

助手席物語 #ポーアイ

「僕さあ、このエアコンの吹き出し口
好きなんだよね。なんかまるっとして
てかわいくない?」
 
珍しく助手席に座ったカサイ君はいつ
もよりよく話す。たぶん自分のせいで
私が運転するハメになって、私が不機
嫌になるのを恐れているんだと思う。
そんなことよりちゃんと左側とか後ろ
とか見たり、ナビしたりして欲しいん
だけど。私は視界の端で運転席側につ
いている吹き出し口をチラリと見た。
確かにそうかもね、二重まぶたみたい
になっててかわいい。
 
「次の信号を左ね、左車線に寄って。
周り確認して、ウィンカー出してね。」
一応マップは見てくれてたみたい。ル
ームミラーを見て、ウィンカーを出す。
ドアミラーを見て、目視で確認して車
線変更をする。楽勝。
 
ちなみにデミオはウィンカーを出さず
に車線をまたぐとやさしいアラート音
で知らせてくれる。ハンドル操作がイ
メージ通りにできるし、何よりコンパ
クトで運転しやすくて、初心者にやさ
しい。私が一番気に入っているのはア
クセルペダルだ。床からニョキっと生
えているタイプでオルガンペダルって
いうらしい。踏みごたえがあるので、
ゆっくり発進したり一定のスピードを
保ったりするときも足が疲れにくいよ
うな気がする。
 
とにかく出発して以降すべてが順調な
ので自分は運転が上手だって勘違いし
てしまいそう。ダメだ、調子に乗るの
が一番危ないんだから。
 
カサイ君はいつも私がするみたいに自
分のプレイリストを漁りながら、快適
なドライブに必要な音楽を選曲してく
れている。陽気な管楽器のイントロに、
素直でまっすぐなちょっと甘い歌声。
これは確かキリンジのファースト・ア
ルバムだ。気持ちいい。カサイ君が少
し窓を開けると、微かに潮の香りのす
る風が私の頬を撫でた。
 

 
カサイ君は眠そうにあくびをして目を
こすっている。
「そんなことしたらまたコンタクト取
れるよ。」
私は助手席の様子を把握して、小言を
いう余裕まで出てきた。
「ドライアイなんだよ。」
口を尖らせて言い訳する。
「だからこまめに目薬さしなさいって
お医者さんに言われてたでしょ?」
小さい子供を諭すように、わざとお母
さんみたいな言い方をしてやる。
 
ちなみにカサイ君のコンタクトが取れ
る事件は初めてではなくて、実はこれ
で2回目。前回は一緒に動物園に行っ
たときで、外れてそのままペンギンの
プールの中に落ちちゃって2人で涙が
出るほど笑った。こういう間の悪いと
ころがカサイ君なのだ。二度あること
は三度あるって言うけど、仏の顔は何
度までだっけ?
 
助手席に座っていると運転席はすぐ隣
にあるように感じるけれど、運転席に
座っていると助手席は少し遠くに感じ
る。どうしてだろう?運転席の側から
だけ感じる壁みたいなものがある。そ
れはきっと私が運転に不慣れなせいか
もしれない。運転に集中するあまり、
それ以外のことには気が回らないから。
 
隣の席なのにこんなに違う。助手席に
座ってドアミラーに流れていく景色を
ぼんやり眺めている方がずっと楽。で
もまあ、運転席も悪くないかもね。な
んか今回はそう思えた。エンジンを切
って、ほっと肩の力が抜ける、ほどよ
い疲労感って妙に心地いいものだ。(終)

 
 
#助手席物語 第6話
#ポーアイ #後編
#デミオ #オルガンペダル
#ペーパードライヴァー

 

 

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